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19.05.28
読了時間:8分
国内D2Cビジネス紹介 第1弾
皆さん初めまして。Full Commit Partnersでインターンをさせていただくことになりました、小笠原です。まだまだVC業界への理解は浅いのですが、こういったリサーチ業務などを通して知識をつけて成長していきたいと思います。さて、季節も春から夏へと変わり目を迎え、だんだんと涼しげな服装の方が増えてきましたね。そこで今回は国内のスタートアップに着目し、ファッション業界で注目のD2Cビジネスを紹介させていただきます。
国内ファッション業界におけるD2Cの動向
近年、ファッション業界においてDtoCへの需要と期待が高まっている。従来はアパレルメーカーが業者を介してショップや百貨店にて自社製品の販売を行うことが主であった。しかしそこにはいくつかの問題点があった。仲介業者へかかるコストや店舗維持に関わる費用の問題、販売先での商品の見せ方や売り出し方によって本来のブランドの思想からかい離してしまうブランドイメージの問題、メーカーと顧客とが直接的に接する機会の少なさから生じる関係性の脆弱化などがその例として挙げられる。近年のDtoC型ビジネスモデルの拡大に伴いファッション業界にどのような変化が起きているのか、国内スタートアップベンチャー3社を取り上げて見ていこう。
1. 株式会社FABRIC TOKYO
(FABRIC TOKYOのコーポレートサイトより引用)
設立年月日
2012年4月6日(前身である「LaFabric」のリリースは2012年4月)
主要事業
オンライン上でオーダーメイドのスーツやシャツをつくることができるWEBサービス「Fabric Tokyo」の企画、開発、運営
店舗
渋谷、吉祥寺、新宿を含む都内8店舗・横浜・大阪梅田
特色
ウェブサイトで購入者が自分のサイズを入力すると、その情報に基づいて試着なしでウェブ上で洋服のカスタムオーダーが可能に。地方の工場と直接提携を結ぶことにより、商社などの中間通流を介さない製造・販売を行っている。
事業の展開と展望
2014年2月に創業者のみでリリース以降、2016年4月には1年半で11億円の増資、2017年から2018年にかけては前年比400%の売上成長をみせている。主な投資企業はニッセイキャピタル、グロービス・キャピタルパートナーズ、スパイラルベンチャーズの三つであり2017年時点で7.4億円の資金調達を実施していた。さらに2019年5月には株式会社丸井グループ(代表取締役社長:青井浩)を割当先とする、第三者割当増資を完了させた。これにより会社設立時からの増資による資金調達額は累計20億円を超えることとなった。縫製工場、サプライチェーン周りのデジタル化、IT化支援に力を入れており、受発注をデータ化しクラウド管理することでヒューマンエラーを抑えた効率の良い取引をつくり出している。リアル店舗を多く持っているので顧客データの収集を幅広く行えるのもFabric Tokyoの強みである。今後も店舗数を増やしていくことで、顧客満足度の向上や事業全体の促進を担うだろう。
2. スタイラー株式会社
(スタイラーのコーポレートサイトより引用)
設立年月日
2015年3月4日
主要事業
ファッションアイテムを購入したいユーザーと販売店舗をマッチングさせるファッションアプリ「FACY(フェイシー)」(旧名「STYLER(スタイラー)」)の開発・提供/メンズファッション情報メディア「STYLER MAG」、女性向けファッションwebメディア「ROBE(ローブ)」の運営
特色
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店舗の近くでFACYにアクセスすることで、その店のアイテムに関する質問をいろいろなユーザーと共有できる。
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ショップ店員にメッセージで質問することもでき、アドバイスなども受けられる。また店舗で直接アイテムをスキャンすることにより、情報を手に入れるることやお気に入りリストに追加することも可能。
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店舗での取り置きや自宅への配送もFACY一つで完結させることができ、時間や場所にとらわれないショッピングができる。
事業の展開と展望
STYLERはオンライン、オフライン関係なくユーザーのニーズを基にサービスを提供する(ニューリテールプラットフォーム)ことを目標としている。店舗の運営者からアプリの使いやすさなどを積極的にヒアリングすることにより契約店舗数の拡大と契約店舗でのしてきた。2018年2月からは台湾でもサービス提供を開始しており、今後国内のみならずアジア圏からの海外事業拡大を見据えている。
3. 株式会社エアークローゼット(airCloset, Inc.)
(エアークローゼットのコーポレートサイトより引用)
設立年月日
2014年7月15日
主要事業
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オンラインファッションレンタルサービス「airCloset」
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ファッションレンタルショップ「airCloset×ABLE」
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ファッションスタイリングサービス「picks-ピックス-」
店舗
表参道(株式会社エイブルとの協業)
特色
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月額制、返却期限無しでプロのスタイリストによるコーディ―ネートを手軽に楽しめる。
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店舗でのスタイリング体験や、洋服に関する悩み相談室を備えたプライベートラウンジを利用することで購入者の心に寄り添った購買体験を提供。
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プロのスタイリストが選んだ衣装を自宅で試着、そして購入することができる。気に入らなかったものは返却可能。
事業の展開と展望
2018 年 6月、データサイエンス領域の体制拡充や新規事業開発への取り組みを加速させていくことを目的として、大和ハウス工業を引受先とする第三者割当増資を実施し資本提携を結んだ。既に同年4 月より、大和ハウス工業が開発した物流施設「DPL市川」において、AI・IoT・ロボットを活用する新しいシェアリングモデル物流施設「Intelligent Logistics Center PROTO」のプロジェクト参画企業として次世代物流オペレーションを共同構築している。これはシェアリング物流プラットフォームの機能強化・拡充を狙ったものである。ITを活用することは作業効率を高めるだけでなく、個々のトレンドを把握することにもつながる。顧客データ(個人のフィードバックなど)を人工知能やデータサイエンティストのチームが解析することで顧客一人一人に寄り添った提案ができるようになり、エアークローゼットの事業の基盤であるスタイリング業務の精度向上が見込めるだろう。また2016年10月からエイブルとの協業で出店したリアル店舗のリピーター率は2017年時点で6割を超えた。今後の多店展開にも期待が持てる。
ファッション業界におけるD2Cビジネスの展望
今回は国内におけるファッション業界のD2Cの今を探るために3社をリサーチした。ここから、D2Cビジネスは購入者とブランドとの関係性をより内密なものとしていることが見てとれるだろう。そしてそれが結果として購買意欲を促進させる要因となっている。購入者のファッションに対する不安や悩みといった内面の問題にも寄り添うことより、よりミスマッチのない商品売買へ一役買っているのだ。今後もファッション×D2Cの領域におけるビジネスの拡大は見込めるだろう。
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