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トップVCが注目する「MaaS」とは

みなさん、こんにちはFCPの宮澤です。最近では暑い日が続き、街中を歩いているだけで体力が奪われてしまいます。そんな中、より快適で便利な移動を可能にしてくれるとして、近年Sequoia CapitalsなどのトップVCが注目している、「MaaS」について今回は紹介していきたいと思います。
MaaSとは
MaaSの現状や可能性について考える前に、そもそも「MaaS」とは、何かについて触れておこう。まず、「MaaS」とは、「Mobility as a Service」の略で、サービスとしてのモビリティーのことを指すとされている。抽象的で、イマイチ何のことをさしているのかわからない方もいらっしゃると思うが、実はMaaSには様々な定義があり、様々な捉え方が存在するのが現状だ。しかし、この定義が型にはまっていないからこそ、これからどんどん成長していくというポテンシャルを感じるのではないだろうか。そんな中で、今回この記事で「MaaS」をモビリティを活用したサービス全般と大きく定義し見ていく。
 
MaaSの市場規模について
Strategy&の調査によると2017年度のMaaS市場規模は870億ドルとされているが2030年には米・欧・中合わせて1.4兆米ドルになるとされている。特に、人口の多い中国での市場成長が期待されており、2030年には中国だけMaaSの市場規模が6560億ドルになると考えられている。この、モビリティ業界での変化そして、MaaSの発展はなぜ起きるのだろうか。それは以下の二つのキーワードが重要になってくる。
 
①シェアリングエコノミーの拡大
まず、一つ目の原因とし考えられるのがシェアリングエコノミーの成長である。現在、スペースシェアから腕時計シェアまで様々なシェアリングエコノミーが構成されつつあり、消費者のシェアリングへの抵抗感が少なくなりつつある。そんな中で、カーシェアなどのモビリティ領域においても今後技術の成長がブースターとなって、MaaSの市場規模が大きくなるのではないかとされている。事実、すでにカーシェアのサービスは様々展開されている。その一つの例が個人間のカーシェアアプリのAnyka(エニカ)だ。エニカは、貸す側と借りる側のニーズを的確に捉え、多くのユーザーから人気を得ている。貸す側は、自分がクルマを使わない日にクルマを貸すことで、収益を得ることができるメリットがあり、借りる側は、比較的安い値段でクルマを借りられる上、従来のレンタカーサービスでは借りられなかった、高級車やスポーツカーが借りられるというメリットがある。
このように、消費者の間でモビリティにおけるシェアリングが普及すれば、それに付随するように様々なMaaSが発展するだろう。そして、それを表すような形で、自動車業界においては従来のサプライヤー事業、自動車販売、アフターサービス市場で得られる利益の割合は、現在の71%から2030年には41%とほぼ半減すると予想されている。さらに、今回 例として挙げたのは、自家用車のシェアリングだがモビリティには様々な種類が存在する。個人、法人、政府の枠を超えサービスを展望することで様々な業界に特化したサービスに応用できるかもしれない。この応用力も今後MaaSが成長するであろうと期待される要因でもあるのだ。
 
②自動運転技術の発展
二つ目の要因として考えられるのが自動運転技術の発展だ。現在、日本では自動運転への法的規制が厳しく、2020年を目処に高速道路における、自動運転の実用化やその一段階上の無人自動運転のサービスの実用化を目指しているとされているが現状として自動運転レベル2に止まっている。自動運転レベル2とは、アクセル・ブレーキ、ハンドル操作における、自動車のシステムが運転者を支援することをさし、レベル2はそもそも自動運転なのかという疑問が上がっている。その一方で、海外では着実に自動運転への法整備が進められている。自動車メーカーのAudiが自動運転レベル3のシステムを搭載する車種を発表する中、ドイツ政府はレベル3の自動運転の実用化を認めている。
レベル3とは条件付きで運転における全てのタスクを自動車が行うことをさす。このように、海外では徐々に自動運転技術とそれに対する法整備がされつつあり、完全な自動運転のレベルとされるレベル4が近い将来実用化されるかもしれない。この、自動運転レベル4の実用化が開始すれば、自動運転を生かした様々なMaaSが展開されることが期待できる。その先駆けとして、トヨタが2018年に発表したのがモビリティサービス専用EV“e-Palette Concept”だ。
 
– e-Palette Conceptは、電動化、コネクティッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EVです。移動や物流、物販など様々なサービスに対応し、人々の暮らしを支える「新たなモビリティ」を提供したいと考えています。将来は、複数のサービス事業者による1台の車両の相互利用や、複数のサイズバリエーションをもつ車両による効率的かつ一貫した輸送システムといったサービスの最適化を目指しています。また、サービス事業者のニーズに対応した内装を設定することで、(中略)、e-Palette Conceptが新たなモビリティサービスの創出に貢献することを想定しています。-
 
もし、このe-Paletteの実用化が可能になれば、現在モビリティの主役とされている、タクシー、バス、電車などの交通機関と人々の生活に大きな変化や影響をもたらすであろう。そして、それに付随する形で様々なコネクテッドサービスが生まれるであろう。
【では、このような変化が予想される中で、この変化をMaaSビジネスの機会として活かす為にはどうすればいいのだろうか。】
Strategy&のレポートではこの機会は自動車メーカーに限るものではなく、「モビリティについての助言者」、「MaaS事業者」、「特化したモビリティの実現者」、「オペレーティングシステムの提供者」といった役割に対して様々なプレイヤーが機会を持っているとされている。では、具体的にどのような役割を各プレイヤーは持っているのだろうか。
 
MaaSにおける各プレイヤーの役割
 
①自動車メーカー
役割:「MaaSの事業者」、「特化したモビリティの実現者」、「オペレーションシステムの提供者」
→サービスの主体となる車両などを販売し、それを主体とする様々なサービスを提供していく
 
②通信事業者
役割:「モビリティについての助言者」、「特化したモビリティーの実現者」
→個人のモビリティデータにアクセスし、様々なサービスへと応用をきかせる
 
③デジタルメディアとテクノロジープレイヤー
役割:「モビリティについての助言者」、「MaaSの事業者」、「特化したモビリティの実現者」、「オペレーションシステムの提供者」
→モビリティの変化における、様々なテクノロジーインフラの拡張、付随するデジタルサービスの開発と提供
 
④スタートアップ企業
役割:「モビリティについての助言者」、「MaaSの事業者」、「特化したモビリティの実現者」、「オペレーションシステムの提供者」
→特定の価値提供に特化した優れたサービスを開発し、提供する
 
ここで紹介されてもらった、プレイヤーは一部であり、他のプレイヤーによるMaaS業界への参入も考えられる。しかし、VCとして一番注目したいのがスタートアップ企業の部分だ。見てわかる通り、スタートアップ企業は4つすべての役割を担えるとされている。このように、スタートアップ企業にはMaaSにおいて様々なポテンシャルを持っており、様々な活躍が期待できる。FCPとしても、今後訪れるであろう、MaaS時代で社会に対して新しい価値を提供し輝ける企業に対して支援を行って行きたい。
 
ご精読ありがとうございました!次回の記事では、MaaSを事業として行っている国内外のベンチャーを紹介していきたいと思います。是非、ご期待ください!
 
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