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フードテック関連ベンチャー紹介②~流通領域~
こんにちは、FCPインターン生の秋本です!フードテックシリーズ第1弾では、農業生産領域に関わるフードテック事業について紹介しました。( https://www.fullcommit-partners.com/blog/article35 )
今回は、第2弾として、流通領域の事業について紹介します。最近では、UberEatsが話題になりました。とっても便利ですよね。他にはどんなベンチャーがあるのか、見ていきましょう!今回は3社紹介します。
①八面六臂株式会社
・会社概要
会社名 八面六臂株式会社
設立 2007年5月
資本金 1千万
事業 飲食店向けEC事業
・事業内容
八面六臂(はちめんろっぴ)とは、ひとりで多方面に渡る仕事をやってのける様を表す四字熟語である。株式会社八面六臂は、生鮮食品を飲食店向けに配送・通販するEC事業を行っている。 全国各地の産地市場や生産者からの独自仕入れを組み合わせることで 、無駄な費用および時間を省いた新鮮な食材を届けている。
八面六臂の強みは、全ての生産者および飲食店がターゲットである点である。八面六臂は、配送業者であり、卸売業者である。具体的には、生産者から注文を受けて、食品を飲食店に配送するデリバリーサービスと、生産者から商品を買い付け、それをECサイトから飲食店に売るプレイスメントサービスの2本の柱から成る。前者は、顧客を持つ生産者を取り込むことができ、後者では顧客獲得を目指す生産者と仕入れ先を求めている飲食店をつないで両方取りこむことができる。このように、八面六臂のターゲットは幅広く、理論的には全ての生産者と飲食店が顧客となり得る。これが、八面六臂の事業拡大のポイントである。また、顧客を求めている生産者の広告をECサイト内に掲載するアドバタイズメントサービスも行っている。これにより、八面六臂は広告費を手に入れ、同時にデリバリーサービスの顧客獲得の可能性を広げている。
ここで、プレイスメントサービスについて詳説する。上述のように、プレイスメントサービスはamazonと似た仕組みの飲食店向け通販サービスである。プレイスメントサービスには、生産者にとって以下のメリットがある。
・ 小口取引に手間をかけられない大手メーカーは、八面六臂の代行によって小口取引のチャンスを得る
・配送料に悩む地方のメーカーは、八面六臂までの配送料だけで済むようになるので、コストカットできる
・価格を生産者自身が決められる
・ 中間流通を通さないので、最終顧客である飲食店などのニーズを把握できる
・中間流通を通さないので、鮮度が保証される
既存の流通ルートを持つ生産者を八面六臂に乗り換えさせるには、大きなメリットが必要である。八面六臂は、コスト削減だけでなく、上に挙げたように複数の付加価値を付けたことで、生産者を取り込むことに成功した。
②デイブレイク株式会社
・会社概要
会社名 デイブレイク株式会社
設立 2013年7月
資本金 2千万円
事業 特殊冷凍テクノロジー導入支援、フローズンフルーツ
・事業内容
デイブレイク株式会社は、特殊冷凍テクノロジーによって、食品ロス問題の解決を目指している。特殊冷凍テクノロジーによって、食材や食品・料理をそのままの品質で長期保存することができる。これにより、賞味期限切れによる廃棄、売れ残りや余剰の廃棄を減らすことができる。
デイブレイクは、一次産業から飲食店など三次産業までの事業者向けに、特殊冷凍機の販売とコンサルティングを行っている。食材のロスを減らしたい企業からの需要は大きい。また、自社製品として、ロスになるはずだった高級果実を冷凍したフローズンフルーツ「Heno Heno」を展開している。さらに、特殊冷凍テクノロジーを用いて、鮮度や配送時間の問題で、産地以外に流通することのなかった食材を全国に流通させるEC事業も行っている。
デイブレイクの強みは、食材ロスという大きな問題をひとつのテクノロジーで解決できる点、つまり、急速冷凍テクノロジーの汎用性が非常に高い点である。食材ロスは、どんな企業にも付きまとう問題であり、それで起こり得るマイナスを失くし、プラスに変えていくことができる技術は大きな需要がある。また、食材ロスは、日本だけでなく世界の問題である。ゆえに、デイブレイクの急速冷凍テクノロジー事業は世界に進出しうる、将来性のある事業である。
フローズンフルーツ「Heno Heno」のように、ロス食品を使った製品は、低コストで製造できる。また、冷凍食品業界の市場規模は年々拡大している。したがって、ロス食品の特殊冷凍食品は、需要が見込める。ゆえに今後、さまざまな面で特殊冷凍テクノロジーは拡大していくだろう。
③Planet Table株式会社
・会社概要
会社名 Planet Table株式会社
設立 2014年5月
資本金 5千万
事業 生産者支援プラットフォーム「SEND」、「Farm Pay」の開発・運用
・事業内容
世界の人口は増加し続けているのに、生産者は減少している。これは、農業がやりがいを感じにくい職業であるためである。Planet Table株式会社は、農業が働きがいがある職業になるよう、生産者が高いモチベーションを維持できる仕組みを作ることを目指している。提供するサービスは、生産者と飲食店をつなぐ農畜水産物の生産・物流プラットフォーム「SEND」と生産者向け早期支払いサービス「Farm Pay」の2つである。Planet Table株式会社は、2019年1月に 大和証券グループ本社やスパイラル・ベンチャーズから約6億円を調達し、4月にはSENDの利用者数(飲食店)が7000軒を突破した。
まず、SENDについて説明する。 SENDは、発注者の需要を予測して生産者に伝え、それに応えて作った食材がタイムラグなく、消費者に届くシステムである。生産者は、SENDの物流センターに出荷し、そこから発注者に直接配送する。ITシステム、物流システムも自社で保有している。利用者は、スマートフォンやパソコンで商品を管理できる。また、発注者の日ごろの需要をデータ化して分析することで、生産者に適切な生産をアドバイスしている。
SENDの強みは、発注者のターゲットを料理人に絞り、需要の発掘と需要予測の精度を向上させた点である。また、 飲食店の需要の多寡は曜日や天気によって読みやすい。飲食店の業態や立地などを含めて複数データを分析すると、類似した飲食店の需要傾向がわかる。 この需要データを集積して分析し、事前に生産者に発注し、SENDが買い取っている。これにより、食材ロスやタイムラグを最小化できる。さらに、多種の食材を少量ずつほしいという個人取引では実現できなかった需要を発掘できた。また、食材のサイズや見た目など、生産者が理解でき対応できる需要を生産者側にフィードバックすることで、モチベーションや技術の向上に貢献している。このような価値提供をすることで、利用者が信頼できる生産者を紹介してくれるため、横のつながりで利用者が増加している。
次に、Farm Payについて紹介する。農家の出費が最もかさむのは、収穫期である。このため、悪条件の取引でも、支払日の早い取引を優先してしまうことがある。Farm Payは、この問題を解決する。出荷したら即時に代金が支払われるのだ。Farm Payは、SENDとの同時使用率が高く、今後SENDと一緒に成長していくサービスとなるだろう。
今回は、フードテックのうち流通領域に携わる2社を紹介した。両者の事業の方向性は異なるが、ターゲットの幅広さが共通していた。
流通は、重要な経済の一面である。日本の流通システムは、世界各国のそれに比べて非常に複雑であり、モノの値段は高くなる上、経済の能率も悪くなる。この日本の伝統的な流通の問題の解決には、さまざまなビジネスの余地があるだろう。
また、市場に流通することのできる商品を増やすという考え方のビジネスも需要がある。飽食と飢餓が共存する現状の改善に必要不可欠なこの技術もビジネス化のチャンスがあるだろう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!フードテックシリーズ第三弾は、中食および外食に関わるフードテック事業を紹介していく予定です。身近なテーマなので、面白い記事が書けるように、より一層努力していきたいと思います。
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