Blog

フードテック関連ベンチャー紹介①~農業生産領域~

こんにちは!FCPインターン生の秋本です。ヒトと食は切り離せない関係ですよね。私も食べることが大好きです。そこで今回は、テクノロジーと食の融合、フードテックについてご紹介します!


 フードテックとは、最新ICT技術を食分野に応用した新しい領域である。食糧不足や食の安全性、担い手不足や就農者の負担の大きさなど、世界が直面する深刻な問題の解決にはフードテックが不可欠である。ゆえに、社会的意義が大きく、今後伸びていく領域だと考えられ、世界的に投資が活発に行われている。フードテック領域は多岐に渡り、生産、流通、中食および外食、調理技術、健康食品、次世代食品に分類できる。今回は、農業生産領域のフードテック、アグテック(アグリカルチャー+テクノロジー)に関わる3社を取り上げる。

株式会社ルートレックワークス

ゼロアグリ公式コーポレートサイトより引用

会社概要

会社名  株式会社ルートレック・ネットワークス

設立   2005年8月

資本金  1億円(2018年2月27日現在)

主要株主 佐々木伸一((株)ルートレック・ネットワークス代表取締役社長)     (株)東京大学エッジキャピタル     (株)グロービス・キャピタル・パートナーズ      合同会社テックアクセルベンチャーズ      オイシックス・ラ・大地(株)      JFE商事エレクトロニクス(株)      JX ANCI(株)      農林中央金庫

事業内容

 株式会社ルートレックワークスは、 リモート管理ツール「RouteMagic」事業および ICT養液土耕栽培支援システム「Zero.agri(ゼロアグリ)」事業を展開している。後者が、アグテック関連事業である。

 ゼロアグリは、潅水施肥の自動化により、「農業に休日を」もたらすハウス栽培向けサービスである。具体的には、AIが作物の状態に応じて潅水(水やり)および施肥を自動で行い、農業の省力化、さらにそれによる規模拡大に貢献するサービスを提供している。 実際にゼロアグリを導入した農家では、収量が前年比28%増加したうえ、施肥の手間が省けたことで作業時間を90%削減・規模拡大につながった例もある。

ゼロアグリ公式コーポレートサイトより引用

また、潅水施肥は養液土耕で行う。養液土耕とは、チューブから土に浸透するスピードで点滴のように水を垂らす潅水方法であり、水および肥料の削減が期待できる。また、作物の根域以外には潅水しないため、雑草の発生や湿度による病気を予防できる。

 ゼロアグリの強みは、ICT技術によりもたらされるデータに、高い付加価値を付けたところにある。つまり、農家が作物の状態を把握した時の次のアクションである潅水施肥までをフォローしたことが、多くの農家に受け入れられるための重要なポイントとなった。また、潅水施肥の微調整が手元の端末から簡単に行える点も重要である。これにより、農家が長年培ってきた勘を反映することができ、AIに対する抵抗感を軽減できた。

 ゼロアグリは、 2016年に第1回「JEITAベンチャー賞」、 2018年に第4回 日本ベンチャー大賞 農業ベンチャー賞(農林水産大臣賞)を受賞している。日本での導入事例も増えてきており、今後は日本と気候の似たアジア圏への進出を目指している。

株式会社 レグミン

株式会社レグミン公式コーポレートサイトより引用

会社概要

会社名  株式会社レグミン

設立   2018年5月

資本金  1.2億円(資本準備金含む)

主要株主 インキュベイトファンド株式会社

事業内容

 株式会社レグミンは、 農作業を効率化するための自律走行型ロボットと画像解析を用いた作物育成支援システムを開発している。 ロボットによって、農家の作業負担を大幅に軽減し、生産性を向上させることができる。また、農地に育成している作物の画像解析を自動で行うことで、病気や害虫の早期発見や、適切な農薬散布タイミングや散布すべき場所の判断ができる。これにより、収穫量が増大し、農薬量は減らすことができ、利益率が向上する。

 レグミンの強みは、現代の就農人口の減少という不可避な問題の解決の糸口となり得ること、未来の農業の完全機械化の先駆けとなる得ることである。また、レグミンは太陽光をエネルギーとして最大限に活用する事で、より化石燃料に依存しない農業を目指している。このように、エネルギー問題にも配慮した未来志向の事業を展開することで、将来性が見込まれている。レグミンの「ロボットと人が協業して野菜を作る」というコンセプトは、これからの時代によくマッチしている。

 現在、レグミンは小松菜の栽培コストを75%カットすることを目標とした、葉物野菜の種まきから農薬・肥料の散布、収穫までを全自動化するロボットを開発し、自社農場で実証実験を行っている。

inaho株式会社

(inahoのコーポレートサイトより引用)

会社概要

会社名  inaho株式会社

設立   2017年1月

資本金  4980万円(資本準備金含む)

主要株主 情報なし

事業内容

inaho株式会社はAIを搭載した自動収穫ロボットを開発している。野菜の多くは個体によって、一番良い収穫時期にばらつきがあり、一つ一つを確認しながら収穫するのは農家にとって大きな負担であった。しかし、inahoが開発した自動収穫ロボットを使えば、その負担を軽減することができる。具体的には、ロボットが搭載するAIを用いた、画像分析ツールにより色と形,病害の有無を判別し自動で収穫を行ってくれるのだ。現在は、収穫できる野菜がアスパラガスに限られているが、今後はきゅうり、ピーマン、トマト、ナスと順次対応予定のようだ。さらには、自動収穫ロボット以外にも、画像解析ツールを応用し雑草を自動で除去してくれるロボットの研究・開発を行っている。

inahoの開発するロボットの強みは、現代の日本社会で問題になっている農家の高齢化と農業離れが問題を解決できるポテンシャルを持っていることだ。inahoの開発するロボットは収穫や雑草取りなど、高齢者にとって負担となる肉体的作業を軽減してくれる。これは、mさに農業人口が減少する中で求められる「農業の効率化」を可能とするサービスだ。社長の菱木 豊氏によるとinahoは3つの技術(画像分析技術、ロボットアーム、自律走行)を武器に農業業界の問題を対処していくという。これから、inahoがどのようなロボットを開発し、農業に貢献していくか、目が離せない。


 今回は、フードテックのうち農業生産領域に携わる2社を紹介した。2社ともに、ICTによるデータの提供だけでなく、その先にある農作業を代替することで高い付加価値を提供している。

 現在、日本では、就農者の高齢化や負担の大きさ、技術の取得の難しさによる新規就農者の獲得の難しさなど、様々な要因から、就農人口の減少は避けられない課題である。この課題は、最新技術を用いて解決できる可能性があり、課題が多く残されているということは多くの事業が起こせる可能性を秘めているということである。また、社会的意義も大きいため、投資家の関心も高く、アグテック投資は世界中で拡大している。今後もアグテック領域は拡大していくだろう。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました!フードテックシリーズはまだまだ続きます。次回は、第二弾として、食の流通に関わるフードテック事業を紹介していく予定です。次回もよろしくお願いいたします。

Facebook アカウントアカウント名:

Twitterアカウントアカウント名:

Instagram アカウントアカウント名:

シェア用リンク

Comments